自然な見た目や天然歯のようにしっかり噛める機能性など、総合的に口腔内全体を守るための治療としてインプラント治療は有効です。
しかし、ブリッジや入れ歯と違い、「寿命が来たら作り直せばよい」というものではなく、インプラントは寿命がきてしまったら再手術が必要です。
そのため、長く使用できる方法を知っておきたいものです。
目次
■インプラントの平均寿命
◎インプラントの寿命は?
インプラントの寿命は10年から15年ほどといわれることも多くありますが、これはあくまで平均で、中には40年以上も使えたという話も残っています。しっかり手入れをしていることや、定期的に歯科医院でメンテナンスをしてもらっているなど、口腔環境によって個人差が出やすいのが特徴です。
一般的に、骨と結合しているインプラント体が脱落した時をインプラントの寿命と考えます。インプラント体に問題がなければ、上部構造の人工歯やアバットメントのゆるみをしめたり、交換したりすることによって維持が可能なケースも多くあります。
◎その他の補綴物の寿命は?
インプラントは、義歯やブリッジなどに比べ、寿命の長い補綴物です。
・ブリッジは7~8年
・義歯は2~5年(保険適用の義歯の場合)
程度だといわれています。
特に義歯はプラスチック部分が劣化しやすいため、寿命が短くなっています。
それに比べるとインプラントは2~3倍の寿命があるといえます。
■長く使うための秘訣は?
◎ご自身での清掃をきっちり行う
まずは適切なセルフケアで、清潔を保つことが大切です。
毎日の歯磨きをしっかり行い、フロスや歯間ブラシも併用して清潔な状態を保ちましょう。植毛部分の小さいタフトブラシを使うのも効果的です。
また、歯科医院へ定期的に通い、プロによるメンテナンスを受けましょう。
インプラントは、天然歯と違い歯周病になることはありませんが、インプラント周囲炎という歯周病と同じような症状になってしまうこともあります。
適切な清掃を行うことで、インプラント周囲炎になるリスクをぐっと下げることができます。
<インプラント周囲炎とは>
インプラントの周りに起こる歯周病に似た炎症です。
・膿が出る
・出血がある
・インプラント体がぐらつく
・歯周ポケットが形成される
などの症状があります。
インプラント周囲炎になると、インプラント体を支える顎の骨が溶かされインプラントを支えることができず、最終的には脱落してしまいます。
◎インプラント周囲炎の原因もプラーク(歯垢)
インプラント周囲炎の原因となる菌は、プラーク(歯垢)に潜む歯周病菌です。
口腔環境やメンテナンス不足により、歯肉とインプラントの隙間に、プラーク(歯垢)が溜まり、そこから発生する毒素によって、インプラントの周囲組織が炎症を起こしてしまします。初期段階では自覚症状が出づらく、気づかないうちに進行してしまいます。
インプラントも天然歯と同様にプラークコントロールが重要です。
毎日の歯磨きもしっかりと行い、定期的に歯科医院にメンテナンスに通うことで、プラークをしっかり除去することが、インプラントを長持ちさせるために必要なことです。
インプラントと天然歯の違いの一つに、歯根膜があるかないかという点をお話します。
歯根膜は歯の根の周りのクッションのような役目を担いますが、インプラントには歯根膜はありません。そのため、血液供給が天然歯に比べ乏しい状態となります。
血液の中には、細菌を排除しようとする成分(好中球といいます)も含まれているため、血液供給が少なくなれば、好中球も少なくなり、もともと持っている防御機能も低下すると言えます。
つまり、天然歯の歯周病より、インプラント周囲炎のほうが、進行が速くなる可能性が高いことになります。
インプラント周囲炎になってしまう前に、歯科医院での定期的なメンテナンスをしっかり行うことで、このようなリスクも軽減できます。
【手入れをしっかり行えば、長期間の使用が可能です】
見た目の面でも噛むことの機能面でも優れたインプラント、大切に、長く使いたいものです。
ご自身でのケアや歯科医院での定期メンテナンスを適切に行い、インプラントを長く使うだけでなく、他の歯も大切にできるモチベーションになるといいですね。
当院でもインプラントを長く使うためのサポートをさせていただいています。ぜひ一度ご相談ください。