ホームページにお問い合わせがあった、エプーリス(女性特有の歯肉炎)について詳しく説明します。 Information
エプーリスとは
エプーリスとはギリシャ語で「歯肉の上にあるもの」という意味の語ですが、歯肉にみられる良性の腫瘤
(しゅりゅう:できもの、こぶという意味です)を総括した臨床名です。
多くは炎症性ないし反応性の病変で、真の腫瘍であることは少ないようです。
エプーリスは女性に多く、男女比は約 1:2で、好発年齢は20~30歳代で全体の40%を占めます。
妊娠期に見られる 妊娠性エプーリスは妊婦の0.5~1.2%に認められます。
10歳以前は少ないのですが、極めて稀に新生児に認められることがあります。(先天性エプーリス)
好発部位は上顎の歯と歯の間にできることが多く、前歯、次いで奥歯に発生するようです。
症状としては長年の間大きさをほとんど変えないものが多く、色調や硬さは一定ではありません。
肉芽腫性の物は赤みを帯びて軟らかく、血管に富んだものは出血しやすいのですが
線維成分多いものは白くて比較的硬いようです。大きさは雀卵大(長径20㎜程)までのものが一般的です。
妊娠性エプーリスは妊娠3か月頃から発現し増大するが、分娩後は腫瘤の発育は停止するか縮小することが多いので
白山歯科クリニックでは「食事がとれない」「噛むと出血する」などの症状がない場合は
ブラッシングやスケーリングなどで口腔内清掃を徹底し、分娩後までエプーリスの治療は控えます。
今回のケースでは一般的なエプーリスの治療経過を詳しく説明させて頂きます。
年齢 24 性別 女性
主訴 (症状)前歯の裏側歯肉の腫れを訴えて来院。特に右上の歯ぐきが腫れて噛めない!
診断
検査データ
歯ぐきの精密検査を行ったところ、歯周病になりかけていましが、骨まで溶けてはいませんでした。
しかし出血が多く、歯周ポケットも4mm以上の部分も多数ありプラークスコアー
(歯の汚れの割合で最大100%)は78%でした。
前歯の歯肉の腫れ方や大きさから女性特有の歯肉炎(エプーリス)と診断しました。
治療(治療期間: 3か月間 )
お口全体のブラッシング指導を行いました。歯ぐきが腫れて痛みも強い為
歯周病専用のスーパーソフトの歯ブラシを使用し、歯と歯ぐきの境目に上手に当てるよう指導させて頂きました。
歯石やプラークを除去して1ヶ月後再検査(歯ぐきの精密検査)を行ったところ、プラークスコアーが78%から18%に改善しました。
また、歯肉の腫れや出血は改善しましたが、前歯の裏側のエプーリスは変化しないため、当クリニックで外科的に取り除きました。
メインテナンス
治療後はブラッシング中心の治療でお口のなかを良い環境が維持できるように指導と清掃をさせていただきました。
上の写真は1回目のメインテナンス時(前回の治療終了後4か月後)の写真です。
上の写真は2回目のメインテナンス時の写真(更に4か月経過後)
上の写真は3回目のメインテナンス時の写真(更に4か月経過後)です。
治療開始から17か月経過しましたが、再発は認められず、現在ではご自身の清掃も向上し健康な状態を維持されています。
エプーリスかな?とご心配されている方は是非ご下記の内容をご覧下さい。