歯の話74 気象の変化が大きいと1日2日後に歯周炎が悪化する! Information
みなさんこんにちは!小田原で評判の痛くない歯医者さん白山歯科クリニックの 田賀です!
皆さん気象の変化が大きいと1日2日後に歯周炎が悪化する!ことをご存知ですか?
私も少しですが喘息と感じる症状があるので、台風や低気圧が近づくと咳き込むことがあるので
気象の変化が体に影響していることを感じることがあるのですが、歯周炎までとは考えていませんでした。
このたび岡山大学教授 森田学先生と助教授 竹内倫子先生がこの原因を解明してくれました。
生気象学により、気圧や気温が 生体に及ぼす影響が明らかに
人間を取り巻くさまざまな環境が 生体に影響を及ぼすことはヒポクラ テスの時代からいわれていたことで すが、それが「生気象学」とよばれる学問としてヨーロッパで最初に 系づけられたのは1950年代のこ とです。
日本では1962年に「日本生気象学会」が発足し、医学だけでな ~工学、地理学、氢象学、体育学、生 活科学、農学など幅広い分野の専門 家が集まり、気象を中心に生体との 関係が研究されてきました。
こうして現在では、疾病に関して いえば気管支鳴息、頭痛、関節痛、心 筋梗塞、脳梗塞、うつ病、リウマチ、 顎関節痛などと気象の変化、特に気 圧や気温との関連性が徐々に明らか となっています。
たとえば日本アレルギー学会が作 成した「端息予防・管理ガイドライ ン」の中では、天候や季節などの気象 が気管支鳴息の発作や症状に及ぼす 影響についても言及しています。
そ の一部を紹介すると、気管支鳴息の 発作は春や秋の季節の変わり目、特 に気温が前日に比べて5C以上下が ると発作が起こりやすいこと、梅雨 の時期や、移動性高気圧や台風が近 づいたときなどには症状が悪化しや すいことなどが記載されており、これ らの情報をもとに「鳴息天気予報」を 提供するウェブサイトも存在し、患 者さんの予防対策に大いに役立って います。
歯科領域においても、以前から「飛 行機に乗ると歯が痛くなる」ことはよ く知られており、気象の変化が急性 の歯周炎を引き起こす要因の一つに なることが考えられました。そこで、 当研究室では歯周炎の急性期発生と 気象の変化との関連性を研究するこ とにしたのです。
気圧、気温、風速の3つが 慢性歯周炎の急性増悪に関連
この調査研究は、2011年H月 から2013年H月までの2年間に 当科を受診した延べ2万人の慢性歯周炎患者を対象に行いました。
最初 に慢性歯周炎の症状が急性増悪した 全員に対して問診で、@違和感、痛み、 腫れなどの自覚症状を確認するとと もに、@症状が急性増悪したきっか け(疲労、外傷、歯磨き習慣の変化な ど)と、@症状が出始めた日付を聞き 取りました。 このうち急性増悪した原因を口の 中や体の状態に求めることができな かった153人に対して、気象状況 との関連性を時系列分析することに しました。
気象データは気象庁が発 表している岡山地方のものを利用し、 153人の症状が出始めた日の気温、 氣庄、風速、溫度、降水量、日照時間 を拾い出しました。 その結果、気圧、気温、風速の3つ が慢性歯周炎の急性増悪に関わって いることが判明しました。
具体的に は「気圧の毎時減少変化の最大値が 大きい日の2日後」、そして「気温の 毎時増加変化の最大値が大きい日の 翌日」に、慢性歯周炎の症状が悪化し た人が多く、また「最大風速が大きい 日の3日後」では症状が悪化する人が 少なかったのです。
つまり、短時間で気圧が急激に低 下する台風や爆弾低気圧などが通過 した後や、急激に温度が上昇して真 夏日となった日の後には、慢性歯周炎の症状が急性増悪するおそれがあ ることを示しています。
時期的には 春や秋などァ季節の変わり目、にあたり、この気象状況は気管支噛息をは じめ、関節痛やうつ病など他の病気 とも共通します。
メカニズムは不明だが 気象が体に与える影響を推察
気圧や気温の急激な変化が慢性歯 周炎の急性増悪に関わるメカニズム については不明ですが、過去のさまざ まな研究から次のようなことが推察 されます。
まず気圧と気温の変化は交感神経 を刺激して末消血管の血流障害をも たらし、痛みや腫れを引き起こすこ とが考えられます。
また、気圧の変 化はホルモン環境に影響を与えるこ とが判明しており、その中でも特に アドレナリンは歯周炎関連細菌の増
殖に関係することが分かっています。 さらに気温は炎症に関わるサイトカ イン1Lー6の発現に関与している といわれており、急激に温度が上昇 したときに1Lー6の分泌が促され、 痛みや腫れなどの炎症を引き起こし たのかもしれません。
一方、過去の培養実験の結果を調 べてみると、病原細菌が炎症性細胞 を誘引し、サイトカインなどを誘導 して炎症反応が起きるまでに2〜72時間の時間を要していました。今回 の調査研究では、気象の変化から慢 性歯周炎の症状が悪化するまでの時 間が1~3日と同程度であり、この 培養実験と同様の状態が起こっていた可能性があります。
いずれにせよ、 気象の変化が宿主や口腔内の病原細 菌に影響していることは否定できな いと考えられます。
歯周病は40歳以上の日本人の約8 割が躍患している疾病で、歯の喪失 原因の約4割を占めています。こう した観点からみたとき、慢性歯周炎 の急性増悪を予測することは歯の保 存のためにも重要です。今回の調査 研究をきっかけに気圧の低下や気温 の上昇がどの程度起こると慢性歯周 炎が悪化するのかといった関連性に ついて探究を重ね、将来的には気管 支哺息のように天候による発生予測 が可能になればと考えています。